オーセブンCADコンテスト2025
学校部門受賞作品
星祭庭園
東京都立農芸高等学校
緑地環境科
山田 はるな 様
作品コンセプト
七夕をイメージした和風庭園です。
織姫と彦星のように誰か大切な人を思って観賞できるような庭園を造りたいという思いから、この作品を作りました。
七夕をイメージして設計したのは、わかりやすいコンセプトがあることで初めて庭を見る方でも親しみやすいと考えたからです。
和風の雰囲気に合う七夕をモチーフに手前が織姫で奥川が彦星をイメージし、それに加えて回廊や橋などの異なる視点からの景色に注目していただきたいです。
感想と創意工夫点
特に工夫した点は庭園左側の回廊と奥側の東屋、植栽です。
回廊と東屋は元々あるものではなく、一から建物デザイナーを使って実際に農芸高校の卒業制作として造られた庭園に近づけるために工夫しました。
植栽は橋を挟んで織姫側と彦星側で印象を変えるためにそれぞれのイメージに合う植物を植栽しました。
また、高木を中心に樹木を多く使うことで両サイドから見て、向こう側が少しだけ見えるというところを意識しました。
理由は向こう側に何があるのかと見る人の期待を膨らませ、実際に奥側まで足を運んでいただけると考えたからです。
作図してみて、CADでは工夫次第でいろんな作り方や見せ方があることを知りました。
この庭園は実際に卒業庭園として制作したもので、変更した箇所などをCADで作図し直し、とても満足のいく出来栄えにできたと思います。
オーセブンからのコメント
七夕という普遍的なテーマを、和風庭園に物語性豊かなデザインで見事に落とし込んだ素晴らしい作品です。
織姫と彦星、二つの異なる世界観を庭園の中で対比させ、見る者に物語を想起させる演出は秀逸です。
回廊からの視点を意識した設計も、奥行きと立体感を生み出し、歩を進めるごとに新しい発見があるような、鑑賞者の好奇心を刺激する見事な構成だと感じました。
細部にまでこだわり、まるでその場に立っているかのような臨場感を表現した動画からは、回廊を通して見える風景の美しさが巧みに表現され、作品全体の魅力を引き立てています。
CADの技術力の高さだけでなく、作者の熱意が伝わってくるようです。
庭園という空間が持つ無限の可能性を感じることができる素晴らしい作品だと感じました。
物語性豊かなデザインを見事に落とし込んだ高い技術力と表現力で審査員一同の評価が高く、最優秀賞といたしました。
指導者のコメント
この度、「最優秀賞」という素晴らしい成果を収めることができ、私自身、また学校全体で大変嬉しく思っております。
本校では、1・2年次に製図や設計・施工の基礎を学び、3年次の選択科目「造園CAD」でさらに深く設計を学んでいます。3年生になると、生徒一人ひとりがオリジナルの図面を描き、その中から選ばれたものを卒業制作として実際に施工し、文化祭でお披露目することが慣例となっています。今年度は、山田さんの受賞した「星祭庭園」が選ばれ、3年生全員で作庭したものを、文化祭に来場した多くの方々に鑑賞してもらうことができました。
山田さんは、デザインに対する強い探求心を持ち、独創的な発想とそれを形にする確かな表現力・技術力を兼ね備えています。作品の完成に向けては、一つ一つの作業に真摯に取り組み、地道に努力を積み重ねる姿勢が非常に印象的でした。提出期限の直前まで細部にまでこだわり抜いて作品を仕上げました。特に、今回の作品には、高度なCADの操作技術が詰め込まれており、その完成度の高さに私自身も驚かされました。こうした山田さんの熱意と持ち前の表現力・技術力のすべてが今回の作品へと昇華され、審査員の方々からも高く評価を得られたものと考えております。
この成果は、山田さんの弛まぬ努力の賜物であり、指導者として大変誇りに思います。今後もその姿勢を大切にして、より一層の飛躍を遂げてくれることを期待しています。
受賞者のコメント
星祭庭園は農芸高校3年緑地環境科全員で造り上げた庭園です。
たくさんの思いが詰まったこの庭園を高く評価していただけてとても嬉しかったです。
星祭庭園は私の手書きの図面からクラスメイトの図面と先生の案を足して設計されました。実際に施工を行い、完成した庭園を見てCADで造ることを決めました。
しかし、思っていたよりCADで製作するのは難しく、実際の庭園に近づけるために試行錯誤を重ねました。そのため最優秀賞の受賞を知って、とても嬉しい気持ちと設計や施工、CADの製作を手伝ってくださった先生方、講師の先生に感謝の気持ちでいっぱいです。
私は将来、ランドスケープアーキテクトを目指しています。そのため大学へ進学し、造園や環境について学んでいきます。CADで学んだ空間の使い方や魅せ方などをこれからの学習に活かし、将来ランドスケープアーキテクトとして活躍していきたいです。



















