オーセブンCADコンテスト2024

学校部門受賞作品

 

放置竹林と現在の庭園


愛媛県立西条農業高等学校
渡邊 新太 様


オーセブンCADコンテスト2024 学校部門 優秀賞作品オーセブンCADコンテスト2024 学校部門 優秀賞作品




作品コンセプト
庭じまいしたいという問い合わせが増えていますが、住宅が立ち並ぶ中、大きな石や樹木を運び出すのは困難で途方に暮れている人も多くいます。
また、庭は管理が難しく荒れ果てた庭園も多くみられます。
そんな現状の中、庭園つくりを躊躇する人も多いのか現状です。
こんな理由で庭もあきらめるのはもったいない。
今回は庭を作ろうという人が二の足を踏まない。
「管理しやすくて、庭じまいしやすい庭」を目指し、設計しました。
そして、その庭園にふさわしいと思ったのが環境工学科で取り組んでいる放置竹林の竹材でした。
竹は上に伸びても横には伸びない。根も浅い。
増えない様に対策すれば「庭じまいしやすい庭園には打ってつけと考え、竹を主役に石のサイズは控えめにした庭園にしました。


感想と創意工夫点
今回は設計した庭園を実際に造った後、実際作って変わった部分などを修正しつつ、CADで作りました。
通常は使わない材料や使い方をしたのでCADで作れるか不安でしたが、ソフトが使いやすくて直感的に作ることができました。
代用の効く部品も多いので「創意工夫で何でも作れるな」と思いました。
竹の存在感を出しつつ有効活用法も考える工夫をしました。
竹垣は竹林のような存在感を出すため、モウソウチクの丸竹を不規則な高さに板に固定して50cmの深さで建て込みました。
庭全体にモルタルを塗り草が生えないようにし、コケを張りました。
コケは根から栄養を吸収しないので砂利やモルタルの上でも育ちます。
うまくコケを管理して、庭の全面がコケに覆われるのが理想です。
竹の有効活用ではLEDを組み込んだ竹灯籠と竹モルタルです。
特に竹モルタルは見た目と、軽さ、砕きやすさ、防草効果で管理しやすさと庭じまいのしやすさの両立ができた自信作です。
今回の庭園は使っている石も植栽も小さいので、小さなスペースにも作ることができると思います。
一人でも多くの人が「庭を作ってみようかな」と思ってもらえるような研究をしていきたいです。


オーセブンからのコメント
坪庭という、コンテストでは高評価を得にくいテーマにチャレンジしての優秀賞、とても素晴らしいです。おめでとうございます。

坪庭という、コンテストでは高評価を得にくいテーマに挑戦し、優秀賞を受賞されたこと、本当に素晴らしいです。おめでとうございます。
高評価のポイントは、作品コンセプトの着眼点にあります。 「庭じまい」と「放置竹林」、どちらも近年の個人の庭や住まいに関わる問題点です。この二つの難しいモチーフを巧みに組み合わせ、ソリューションを練り上げています。
またそれだけに留まらず、実際に庭園を造られたのですね。CADの作図はその後というのも面白い点です。実際の庭を目の前に、3DCADで表現するのは、頭の中でのイメージをCADで具現化するのとはまた違った難しさがあったはずです。純粋に3DCADスキルを評価するにしても素晴らしい出来です。

庭じまいの観点から防草機能を期待して、モルタル敷きの上にコケを張っているのは、とてもユニーク。コケの育成には、基盤の保水透水も絡んできますので、多孔性のある素材が適しています。竹パウダーを混入したモルタルは、現在色々研究の進んでいる素材であり有効性は未知数ですが、実際の庭園での成果も気になるところです。

今回はCADコンテストという枠組みでの応募でしたが、着眼点の素晴らしさや素材研究などデザイナーとしての将来も楽しみです。


過去受賞作品