オーセブンCADコンテスト2018

学校部門受賞作品

学校部門結果発表2018

本年もたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございます。授業の中で培った外構造園の知識を、3DCADを駆使し2次元表現へと昇華させた力作ぞろいです。先生方には、応募のお声がけから作品制作のご指導、応募手続きまでご尽力頂きまして、心より感謝申し上げます。入賞作品を発表致します。




最優秀賞


【作品名】大人かっこいい庭

奈良県立磯城野高等学校 環境デザイン科  松下優人様

大人かっこいい庭
【作品コンセプト】
お洒落な格子の木材を使う事によって家も存在感をだし、庭にはアクセントとして木材を使い大人なシックな庭にしました。素材を調和させてすっきりとシンプルにしあげました。老若男女問わず庭を楽しめ季節を感じながらくつろぐ事が出来ます。人と人との繋がりを庭がつくってくれるでしょう。


【オーセブンからのコメント】
シンプルな平屋の建物にマッチしたシンプルモダンな外構。まさに「大人かっこいい」作品に仕上がっています。ご本人の目論見通り、直線デザインの多用は意匠全体の統一感に繋がっています。それでいて、植栽もふんだんに使われている事でハードな印象を与えていません。和風庭園の要素を取り入れたお庭も、モダンなシーン演出に役立っています。またゾーニングでも、アプローチには必ずアイストップを配して視線の誘導をされています。内観パースや夜景を取り入れた提案、さらに各パースの構図の安定感、センスが光っています。特にメインとなる右下のパースはバランスが見事で、プランをより魅力的に見せています。この素晴らしいプレゼンテーション力で最優秀賞と致しました。


【作図の感想・工夫点】
私が、この庭をつくるにあたって上手くいった点は、木材を多く使う事で、統一感を出すことが出来たことです。そして、CADソフトを使った感想は自分の頭に想い浮かべたアイデアを実現できるので、いいなと思いました。


松下優人様
松下優人様
【受賞コメント】
このたびは、このような素晴らしい賞を受賞することができたことに、感謝を申し上げます。
3年生から「造園CAD」の授業がはじまり、ケンブリッジの操作方法を学びました。平面図に配置した植物や石材が、即座にリアルタイムパースで立体画像として表示されるのを見たときに感動しました。
基礎的な技術を学んだ後、二学期からオーセブンデザインコンテストの作品制作が始まりました。僕はパソコンの操作が得意ではなく、造園の知識が豊富とも言えません。そんな僕ですが、デザインする時はどうすればこの庭を「かっこいい」と思ってもらえるか、を追求することにしました。リアルタイムに立体で表示されるので、作業中もイメージがつかみやすく、思い浮かべたデザインをそのまま形にすることができました。手描き図面など他の作図方法では、ここまで自由に表現できませんでした。また、作業を通して自分が「かっこいい」と魅力を感じるものは何なのかを改めて確認できました。
卒業後の進路は造園業ではありませんが、デザインのセンスが必要とされる分野に進みます。この作品を通して自分の「かっこいい」を形にできたこと、この賞を頂けたことを糧に、卒業後も次の進路で自信を持って歩んで行きたいです。


【指導者のコメント】
昨年度に引き続き、最優秀賞を受賞できたことに学校全体で喜んでいます。奈良県立磯城野(しきの)高等学校環境デザイン科は、緑化植物の育成、環境保全について理解するとともに、緑地の目的や環境に応じた快適な生活環境を創造するための知識・技術を習得します。また、造園計画や緑化に主体的に取り組むことのできる能力と態度を身に付けることを目指しています。本校では、3年生で履修する学校設定科目「造園CAD」の授業で庭園や公園の「デザイン」にケンブリッジを利用して学習しています。平成29年春にeE-CAD11.5にバージョンアップし、リアルタイムで配置や形状が確認できるリアルタイムパースの機能を最初に見たときは感動を覚えました。建物プランナーをはじめとする新機能の数々は、限られた授業の中での作業の効率を向上させてくれました。
授業では、CADの操作方法の習得だけではなく、設計の方向性を生徒自身が決定できるようになることを重視しています。最新バージョンになり、ソフトの操作性が向上したことで、できることの幅が広がったので、設計の方向性を決めることが、さらに重要になったと感じました。
その中で松下君は最初から庭の完成に向けた方向性を明確に持っていました。一見するとシンプルですが、空白部分の使い方が非常に上手いことに驚きました。要素を追加していく「足し算」だけでなく、余分なものを「引き算」していけるのは、完成イメージを明確に持っていないと出来ないことです。彼がこれまでに感じ取ってきた「かっこいい」ものを上手く組み合わせることができたことが、今回の受賞につながったのだと思います。今回の作品制作をきっかけに、彼が自分の中から引き出したセンスを、今後の進路でさらに磨いていってくれることを期待しています。また、今回の受賞を後輩達の自信につなげ、生徒達がより理想的な生活環境のあり方を深く考察し、主体的に作品制作に取り組んでいけるように指導を続けていきたいと思います。









※入選5作品の紹介順は、学校名の五十音順です。
入選


【作品名】家庭に安らぎをあたえる庭園

沖縄県立中部農林高等学校 造園科  粟國光様


家庭に安らぎをあたえる庭園
家庭に安らぎをあたえる庭園
【オーセブンからのコメント】
ファサードの前庭にオブジェ風の石組みをワンポイントに持ってくると言う大胆なレイアウト。ウェルカムガーデンですね。例えば住宅地の一角で、角地に家が来る場合に有効な提案です。一方、玄関前にはウォールを建てここにもポイントを持ってくるのは、目隠しとアイストップ、両方に使えるアイディアです。そしてその右側で、アールにカットされた舗装とプランターが玄関ポーチへと訪問客を誘導しています。植栽では、沖縄では街路樹や庭木に使われる樹種のアカギを主木に持ってきたのが、本州ではあまり目にする機会がなく、なかなか面白いチョイスだと感じました。その大きく広がった樹冠は、日射しの強い南国では家族みんなの安らぎの場となってくれることでしょう。





入選


【作品名】wood

京都府立農芸高等学校 環境緑地科  熊野秀星様


wood
【オーセブンからのコメント】
住宅地の中にある公園がテーマとなったこちらのプラン、植栽と木材という植物素材のみで構成するという大胆な試み。しかも木材が単なる遊具ではなく、階段やスロープ、デッキなどを構成する部材として使用されています。特に面白いのが木材で出来た四分円のスロープ。実際に施工するとしたら木材の張り方など課題は出てくると思いますが、そんな細かなところなど気にならないほど、ユニークな発想に脱帽です。空中庭園的なクスノキの回りのデッキも、公園全体の立体的な構成を木陰として利用できるようにしたアイデアが光っています。お年寄りも子供たちも、親しみ楽しめる公園になるだろうと想像できる、アイデアが一杯詰め込まれたご提案でした。





入選


【作品名】木のぬくもりと芝のやわらかさにつつまれた庭

京都府立農芸高等学校 環境緑地科  平林凌様


木のぬくもりと芝のやわらかさにつつまれた庭
【オーセブンからのコメント】
二階建ての現代的な住宅に、門やフェンス、車庫回りなどへ木製品を多用したプランです。アプローチにも枕木、テラスにはウッドデッキという徹底ぶりで、コンセプトの木のぬくもりに・・・の演出を感じます。お庭の方は、やはりタイトルにあるように芝生メインで広がりを持たせ、要所要所に高木を配置することで、外部の視線をコントロールしています。隠れたポイントとして、物干し場などになるサービスヤードは土間コンクリートの舗装にしていることです。実用性やコストを考え、常に「実際に工事にするとしたら?」を含めてプランニングすることも大切な事です。また、夕景パースがより木のぬくもりを感じる演出に繋がっています。木製品と芝生、普段の生活で一番目にするところに、この優しい素材を持ってきたことで老いも若きも家族みんなが過ごしやすい庭となっています。





入選


【作品名】老後も住める 和風の家

福岡県立久留米筑水高等学校 環境緑地科  大中来輝様


老後も住める和風の家
【オーセブンからのコメント】
少数派ではありますが、和風住宅のプランがあると嬉しくなります。老後の過ごし方をテーマにしたプランです。高齢化社会と言われて久しいですが、なかなか住環境が老後の生活に向いたつくりになっているかというと難しい。そんな中、若い方達が関心を持って色々と考えてるのをみると頼もしく感じます。数寄屋門から続くアプローチはスロープを設置してバリアフリーに。傾斜も十分考えられています。また家の周囲も一段上げてそのまま回れるようになっているのがミソですね。欲を言えば、外周にも手すりなどあると良かったかも知れません。前庭のパースに夜景を選んだのが建物と和風の雰囲気にぴったりです。庭園では、池の配置の仕方が面白いです。こちらに光源を配置して水面に映える我が家の提案が加われば、さらに素晴らしい提案に仕上がったのではないかとも思います。





入選


【作品名】『舞台』

三重県立四日市農芸高等学校 環境造園科  浅野楓様


舞台
【オーセブンからのコメント】
まさにタイトル通り、演劇の「舞台」をモチーフとした庭のプランです。手前の砂利や花壇は客席、芝生はステージ上とはっきり二分されたレイアウトながら、植栽がある事で庭としての一体感を保つようになっています。また景石や樹木を、キャストや音響設備とした見立てることで意味を持たせています。このプランは実際に制作され、施工写真が図内に添付されていました。ほぼプラン通りに制作された作品を見ますと、プラン時にしっかりしたイメージが出来上がっていたのがよくわかります。プランを作ることも、演劇を作ることも同じ。熟成した完成イメージとそれを実現するための努力、そして観た人に楽しんでもらいたいという気持ちが必要です。そして、この庭はそれらをふんだんに注ぎ込んだ作品に仕上がっています。さて、この「舞台」では、どんな楽しい作品が演じられているのでしょうか。






過去受賞作品