AlderLake-Package
インテルから待望の新CPU、AlderLakeが発売されました。x86と呼ばれるPC向けのCPUとして初めて、高性能コア(Pコア)と高効率コア(Eコア)をミックスしたヘテロジニアス・アーキテクチャが採用されました。

このヘテロジニアス・アーキテクチャはスマホ向けCPUではすでに広く普及していて、長時間のバッテリーライフと高性能とが両立できるようになっています。

AlderLakeは高性能のPコアと高効率のEコアの組み合わせになっていて、エントリー、メインストリーム、ハイエンドで各コアの数が変わるのですが、面白いのはハイエンドモデルでは高性能のPコアが増えるかと思いきや、逆にEコアが増えているのです。そしてデスクトップ向けのエントリーモデルではPコアはあまり減らず、代わりにEコアが完全に無くなってしまいます。

これには、プログラムのマルチコア対応状況と、Pコア/Eコアの実装面積が関わっているようです。

CPUは多コア化が進みましたが、コアが増えれば増えるほど全てのプログラムが速くなるかというと実はそうではありません。プログラムはだいたい以下の3つに分けられます。

1・CPUのコア数があればあるだけ速くなるもの(CPUレンダリングなど)
2・ある程度のコア数までは速くなるけど、それ以上増えても速くならないもの
3・マルチコアに対応せず、どんなにコアが増えても1コアしか使わないもの

1のタイプは意外と少なく、ほとんどのプログラムは2か3です。そして2のタイプは8コアあたりで頭打ちになるものが多いです。

次に実装面積ですが、AlderLakeのPコアはEコアの4倍の面積を必要とします。ところがPコアは高性能とはいってもEコアより4倍速いかというと、そこまで速くはないのです。このためコアがあればあるだけ速くなる1のタイプのプログラムは、Pコアひとつ増やすよりも、同じ面積でEコアを4つ増やす方が速くなるのです。

デスクトップPCはそこまで低消費電力を考慮する必要はないので、必要十分な数のPコアを確保して2と3のタイプのプログラムの速度を保証し、ハイエンドモデルではそれ以上のコア数を要求するプログラム向けにEコアを増やす、という構成になっているようです。
 


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話し変わりまして、先月に橘サーバーの増強を行いました。今回はNVIDIAのRTX A4000という、性能はそこそこだけど電力効率の高いGPUを導入しています。橘サーバーは分散レンダリングするようになったことでひとつひとつのPCを殊更に高性能にする必要が無くなり、高効率なGPUを積んだPCを沢山稼働させた方が同じ電力枠でのスループットが上がるようになりました。デスクトップ向けAlderLakeのEコアと戦略的にちょっと似ている感じです。(ただし増設サーバーのCPUは高負荷時の消費電力、及び導入時点での入手性を考慮してAlderLakeではなくRyzenを採用しています(笑))

パワーアップした橘サーバーでこれまで以上のアクセスをお待ちしております。