3/14、15と京都へ小旅行に行って参りました。いくつかの石庭を巡るツアーに参加しましたのでご紹介したいと思います。

本来なら春うららかに、花木の彩りや芽吹きを楽しむこの季節。しかしながらご存じのような連日のコロナ騒ぎで外出も控え、少し気が滅入ってしまいそうでした。そこで先週の3/14,15と京都への小旅行を敢行、普段非公開となっている石庭を見てリフレッシュして参りました。

体調も確認、マスクと携帯用ハンドジェルを携え、万全の状態でがら空きの新幹線へ。京都の街はやはり海外からの観光客が減り、いつもよりかなり空いているようです。



今回は旅行会社の企画した石庭巡りツアーに参加。ツアーと言っても形態はまちまちで、お馴染みバスでの観光だけでなく現地集合のものもあります。初日は上京区にある日蓮宗の古刹 妙覚寺(リンク先音が出ますので注意)です。

現地集合のため、夕方5時過ぎに妙覚寺へと向かいました。立派な山門は、聚楽第の裏門を移建したもの。本堂などは天明の大火で失われ、その後再建されています。
妙覚寺大門
このツアーは、「怪談和尚」として有名な蓮久寺 三木大雲住職の法話を伺います。

寺務所から本堂へ入りびっくり。なんと本堂内に石庭がしつらえてありました。
庭師 皆川拓哉さんによる「十界曼荼羅」をテーマにした作品です。
十界曼荼羅は日蓮宗の宗祖 日蓮が創始した曼荼羅図。十界は、天上界、人間界、地獄界などの六道と、菩薩界、仏界などの四聖を併せたものです。


妙覚寺 十戒曼荼羅室内庭園
地獄界
地獄界を表したエリア。なんとゴミが散乱している!前代未聞ですね。
人間界
地獄界と地続きのエリアは人間界。三木住職からはこの人間界を含む六道についてのお話しを聞くことが出来ました。
天上界
少し離れた飛び地は天上界。神様の世界ですね。仏教的には神の世界より上に、仏様の世界があります。
法姿園
妙覚寺の主庭 法姿園。コケとカエデのみで構成されたシンプルな庭園。お庭の名前は法華経の中の「諸法実相」に由来しているそうです。紅葉の季節など、また素晴らしい景観を魅せてくれそうです。

翌日は、観光バスで石庭を3箇所回るツアーでした。新型コロナ感染拡大防止の観点で言うと密閉空間としてバスはあまり好ましくないのですが、バスの台数を増やして各個人の座席間隔を確保し、常に換気を図ることで対応していました。観光業界も大変です。もちろん全員マスク着用。

高台寺
最初に回ったのは、秀吉とねねのお寺として有名な臨済宗 鷲峰山高台寺。豊臣秀吉の正室北政所が秀吉の菩提を弔うため創建したお寺です。「高台寺蒔絵」や開山堂の周囲の池泉回遊式庭園も見どころなのですが、ここではツアーのテーマである石庭をご紹介しましょう。
波心庭
と、こちらもまたびっくりですね。

方丈前の石庭「波心庭」、春の特別拝観(3/6〜5/6)ということで、北条から見て正面の勅使門のところに、大塚オーミ陶業株式会社所蔵の陶板で製作された名画が掲げられ、ライトアップに合わせたのか波紋に色とりどりの色砂が撒かれています。枝垂れ桜のライトアップとのマッチングは是非観てみたいものです。

妙覚寺石庭のゴミと言い、高台寺のカラフルな砂紋と言い、庭の表現は自由なんだと思い知らされます。
波心庭の色砂

弘源寺
続いてバスは西へ。京都観光のメッカとも言える嵯峨エリア、さすがに若い方を中心に沢山の方で賑わってました。天龍寺の駐車場にバスを停めて徒歩移動です。

天龍寺の塔頭院となる弘源寺では、「春の特別拝観」(3/19〜5/17)前に本ツアーのためフライングで石庭を拝観しました。
山門をくぐり参道を進みます。本堂前、信楽焼のタヌキの前には椿の花が添えてありました。

本堂内にて竹内栖鳳とその一門による日本画や長州藩がつけた刀傷など説明を受け、その後枯山水庭園「虎嘯の庭」を拝見します。

虎嘯の庭からは、嵐山が借景となり、紅葉の折にはさぞや素晴らしいことになると想像出来ました。
弘源寺 参道にて
虎嘯の庭

ツアー最後のお庭は、少し離れた位置にある天龍寺別格の臨川寺。人通りの多い桂川の通りに面していますが、山門の中はひっそりとしています。それもそのはず、現在臨川寺は一般非公開となっています。
臨川寺
龍華三会の庭
参道を進み、中門をくぐって目の前に広がったのは、見事な枯山水庭園「龍華三会の庭」。

この臨川寺は後醍醐天皇が第二皇子 世良親王の菩提を弔うために建てられたものですが、本堂の裏には天龍寺を開山した夢窓国師のお墓もあります。無窓国師と言えば、京都のみならず各地で素晴らしい庭を作庭した方としても有名ですが、こちらの庭は日本画家 伊藤紫虹氏によるもの。いやそれにしても見事。


龍華三会の庭 三尊石
本堂側から、中門、山門を観る。龍華三会の庭 中央三尊石は、中央に釈迦如来、左右に文殊菩薩と普賢菩薩。少し中心からずらしてありますね。周囲には十六羅漢を表す石が配置(実際には十七石あるようです)されています。なお三会(さんね)とは弥勒菩薩による三度の説法を言い、本尊は弥勒菩薩です。

ツアー利用の石庭拝観のため、他の参加者に連なってあまり良く見て回れないことを危惧していたのですが、個人の訪問ではなかなかお目に掛かることの出来ない庭も観られ、丁寧な解説もついていて、今回は非常に満足でした。コロナ禍が収まったらまた手頃なツアーに参加してみたいと思います。



おまけ

二日目の午前中はツアー集合時間まで時間があったので、東本願寺の飛び地 渉成園を散策してきました。こちらは「十三景」と称されるように非常に変化に富んだ構成の池泉回遊式庭園です。機会がありましたらこちらもご紹介したいと思います。下の360度VRは、丹楓渓のほとりから回棹廊を観たところ。京都駅からもほど近くてちょっと立ち寄ってみるにも良いですよ。


渉成園