オーセブンでは年に2回全社会議及び研修会を行っています。2019年までは埼玉本社に集まって対面で行っていましたが、コロナ禍でオンライン会議に移行して、今年で4年目です。

全社会議の目的はいくつかありますが、基本的にやっていることはいつも同じです。それは、会社の状況を全社員で共有すること、そして、会社の方針や今後の動きについて全社員で共有することです。経営者側からの発信もあり、現場からの情報共有も多数あります。

オンライン会議の良いところは、情報発信する人の声が、全社員に同じレベルで届く点です。共有した画面も同じように全員が見られます。端の方の人には聞こえなかったとか、隣の人と雑談をしていて聞き漏らしたとか、そういうことがないのが良いところです。

情報共有という目的は、オンライン会議で100%実現できます。それは、実際に集まるよりもはるかに効率的です。では、意見交換や合意形成をするのにはどうでしょうか。オンライン会議の弱点の一つはこのあたりにあると思います。

社内のルールを決めるとか、新しい企画について話し合うとか、会議室で対面で行っていたようなことをそのままオンラインに持ち込もうとするとうまく行きません。複数の人が同時多発的に発言するやり方が、オンライン会議システムの機能と合わないためです。

対面で話し合う場合は、誰かが急に話し始めても、話し手がだれかすぐに分かります。その場にいれば、音のする方向に話し手がいるのはすぐに分かりますし、家族や学校の教室で育っていますから、複数の人が同時にしゃべり始めてもそれを聞き分けるスキルは基本的に誰もが会得しています。

オンライン会議には音源の方向がありませんから、複数の声を瞬時に聞き分けるのは困難です。システム上の問題もあるのかもしれませんが、話す人と聞く人が明確にならないとオンラインではどうにも対話が進まないので、わいわいガヤガヤといった会議は難しいのかと思います。

それでもオンライン会議を続けていると、いわゆるモデレーター(仲裁者・司会者)のスキルを持つ社員が何人かいることに気づかされます。彼らは、会議をリードしながら参加者の話を引き出し、それらをまとめることが上手です。オンラインでの合意形成に適したこれから時代のスキルと云えます。

相手の顔色や雰囲気を詳細に察知できなくても、言葉だけで意思を伝え、相手の言葉を引き出し、意見をまとめるのがオンラインでのモデレーターのスキルです。そのような人材を見つけ、育てることがこれからのビジネスにとって重要なことだと思います。