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日本の造園家はイングリッシュ・ガーデン敬意を払いつつも何か違和感?を持っているように(個人的に)感じていました。造園CADを生業にしている者として、二つの庭の違いはなんだろうと長い間疑問でした。初冬イギリスの庭はどうなっているかこの目で確かめてみようと、旅にでました。

空間的な美意識については その歴史や文化を見て 彼我の違いはそれ程大きくは無く 横山大観とターナーの絵には デティールなど同じ美意識を持っているといえるのではないでしょうか。空間的な美意識を共有できているのに違いがあるとすれば 時間軸での違いでは?と思い至り 秋冬の庭がどうなっているか確認したくなりました。

コッツウォルズの庭は その多くがナショナル・トラストの管理下にあり ほとんどがクローズされていて、見ることが出来ませんでした。そこで、英国のガーデニングのメッカ RHS ウイズリー・ガーデンにいってみようと ツアーから外れて訪ねて見ました。

訪れたRHS ウイズリー・ガーデンの展示も来年に向けて植物達の休養と改善の中にあると感じました。日本庭園は四季に恵まれた環境にあり 春の新緑から濃い緑の夏、紅葉から雪景色へ変化する美しさを一年中楽しめる庭にしようとデザインされている。一方、イングリッシ・ガーデンは6月l頃の最盛期に黄金期を迎えるよう準備されているようです。庭に寄せる美しさの原理原則は変わらないけれど時間軸でのデザインの違いが両者の違いなのかもしれないと 感じることが出来ました。

ところで、英語も話せない バスや地下鉄の乗り方も知らない 誰の案内もない旅です。大変な冒険旅行です。成田を出る時に iPhoneを海外で使えるようにモバイルデーター通信をON にしてローミングができるようにセット。これだけが味方です。

ウイズリー・ガーデンの場所をiPhoneに表示して 「ここへ行きたい」とロンドン・タクシーに乗り込みました。大体の検討は ウイズリー・ガーデンに行った人々のブログを読むことで知ることができていました。

無事到着 スムースに事は運びました。

さて帰る段になってタクシーがいるものと思っていましたが 一台も見当たりません。受付のおばさんに聴いてみると「そこの電話で呼べば来るよ だけど高いから 高いよ」とお薦めではないという感じなのです(はっきりは分かりません)。そこで、バスは何処?と聴いてみると 「あっち」というだけで要領を得ません。そこで とりあえず「あっち」と云われた方に歩いててもBUSという表示だけで 時刻表も無い果たしてここでいいのか不安になりました。

そこでiPhoneのGoogleMap で探してみると 1Kmほど先にあるではないか。GPSが現在地を示しているので ルートをセットして歩き始めた。なんとか バス・ストップにたどり着けました。そこにはブログに紹介されていた写真と同じ風景があり 間違いないと 安心することが出来ました。バスに乗ることができ、ロンドンに近い駅まで辿り着き そこから iPhoneに表示したホテルに向かってもらうことが出来ました。

この旅で日本庭園とイングリッシュ・ガーデンの違いをなんとなく理解することができたことは有意義でした。日本と英国の歴史や風土、地政学的違いなどそれぞれの庭が出来上がるまでの違いはまだまだたくさんあり、答えが出たわけではありません。しかしのどのつかえがひとつ取れたような旅になりました。

それ以上に今回の旅で、iPhoneの地図ソフトに情報化時代の素晴らしさを感じたのは云うまでもありませんでした。