FIFAワールドカップのカタール大会で、初めてオフサイドを検知するシステムが導入されました。Semi-automated offside technology(SAOT:半自動オフサイド検知技術)です。

スポーツ観戦は楽しいものですが、特にサッカーのワールドカップのように日本の代表チームが戦う試合はご覧になる方も多いのではないでしょうか。サッカーは小難しいルールがなくて分かりやすいのがいいですよね。

シンプルとはいえ、サッカーにももちろん様々なルールがあります。特にオフサイドのルールは試合のの勝敗を左右する重要のなものとして知られています。オフサイドは相手ゴールの方向にいる味方にパスを出すときには、必ずパスをもらう味方と相手側ゴールラインの間に相手選手が二人以上いなくてならないというルールです。

このルールによって攻撃が簡単には得点に結びつかないようにしているのですが、ゴール前で激しく攻防する敵と味方のプレーヤーがほとんど同じ位置にいる場合などは判定が難しく、審判が目視で確認するには限界があるルールでした。

ワールドカップカタール大会から導入されたSAOTは、ボールに埋め込まれたセンサーと選手の骨格モデルをリアルタイムで計算するAIテクノロジーを使って、手足のわずかな位置も判定に
加える高精度なシステムです。

オフサイドはパスを出した瞬間の選手の位置によって判定されます。ボールが蹴られた瞬間の選手の骨格モデルを巻き戻してみることによって、オフサイドを後から認定できるという仕組みです。主審の判断をAIで補強する(修正する)という使い方ですが、これまでとは比較にならない正確さで、公平性はかなり高いものになったように見えます。

サッカーの文化には、審判にばれないようにズルをするのもテクニックも一つだという意見もあるようですが、誤審で遺恨を残すよりははるかに良い結果をもたらす素晴らしいシステムだと思います。


SAOT