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パソコンが世に出てから30余年、ITの発展は「できる」ようになることでした。 自宅でインベーダーゲームができるようになり、デジタルカメラで撮影して印刷できるようになり、すばやく簡単に美しいカラーパースに仕上げることができるようになることでした。 しかし今の市場は、「できる」だけのITでは満足しなくなりました。


2011年、故スティーブ・ジョブス氏が開発者向けイベントで発表したiCloudは衝撃的でした。 イベントのデモ映像では、スマートフォンで撮影した写真が(次の瞬間には)リビングにあるiPadの中にコピーされていました。 会場は熱狂しました。 「コピーの操作」を「何もしていないのに」写真がコピーされていたからです。 「できている」IT時代の幕開けでした。

iCloudはインターネットをつかって、いくつもある自分のデバイス(スマートフォン、タブレット、パソコンなど)のデータを相互に共有する技術です。 その技術が素晴らしいのは、写真を撮る(データを作る)という行為と、写真を共有する(他のデバイスにコピーする)という操作が一体になっていて無意識のうちに共有が完了している点でした。

2011年当時も、インターネットを使って写真やデータを共有するシステムは他にいくらでもありました。dropboxやEvernoteなどがそうです。 しかし、アップルはOSのバージョンアップで、それらのサービスを一気に飛び越えたのです。写真をネットに保存するというたった一つの操作を省いただけですが、最後の一つの操作を省くことは偉大な進歩でした。以後アップルのユーザーは写真データを移動する手間から解放されました。

「1,2,3の手順で操作すればできます」というITは、まだまだ改善の余地があります。 「1,2」に減れば、まあ、よくなりました、ですね。 「1」だけになれば、かなり良いのでしょうが、「その操作は必要ありません。もう、できています」を目指したいものです。

頭で想像したら図面ができていて、もうその時にはお客さんに届いていた、なんて考えているんですが、現実は皆様からの要望を改善するため毎日残業、残業です。 でも 実現したいですね。 これは夢じゃなくて、出来ると思っているからです。