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先月のことですが、3Dプリンターで作った拳銃を所持していた20代の男性が銃刀法違反の容疑で逮捕されるという事件がありました。新たなテクノロジーが生み出した新しい犯罪として注目されているだけではなく、3Dプリンターの法的規制にまで議論が発展しています。


3Dプリンターは道具ですから、道具に罪はないということで、拳銃を作った人のほうが逮捕されました。 それは当然だと思われるかもしれませんが、かつて同種の事件で、道具を開発した人が逮捕されたことがありました。犯罪をほう助したという理由でした。

Winnyというファイル共有ソフトの事件がそれです。
Winnyというソフトは、それをインストールしているパソコン同士でファイルが共有されるシステムでした。掲示板と自動ファイル共有を組み合わせたシステムで、今でいえばフェイスブックとDropBoxを組み合わせたような使い勝手だと思います。

Winnyが特徴的だったのは、サーバーを必要としない共有システムだった点です。パソコン同士がネットワークで繋がっているだけで情報を共有できますから、ちゃんと理解して育てれば、例えば大規模災害時などの緊急時に連絡を確保するサービスに発展した可能性もありました。 しかし、2003年の開発者の逮捕により以後日本国内で同種の技術の発展はなくなりました。 フェイスブックの創業がその翌年の2004年ですから、振り返れば損失の大きさを感じます。

犯罪に新しい道具が使われると、その規制について議論されることになります。仕組みがわからない方は道具を簡単に否定しますが、ITの可能性を理解しない人が、道具の発展を妨げないことを期待したいと思います。排除してしまえば、発展はそこで終わりです。