秋は芸術、食欲などと色々言われておりますが、紅葉や秋の花、実などを楽しめる、園芸や造園の話題が盛んな時期でもあります。10月に開催されたお庭の展示会に行って参りましたので、作品などご紹介したいと思います。

10月。お庭や野山の木々は秋真っ盛り。秋の山野草や果樹の実など、楽しい要素がいっぱいです。そんな秋を迎えた植物を使った、お庭の展示会が全国各地で開催されています。素敵なお庭を見たくて、プライベートを含めて、3つのガーデン展示会に行って参りました。
庭には、2022

静岡県浜松市の駅前、アクト通りで10/15(土)10/16(日)の二日間、開催されたイベント「庭には、」。浜松花と緑の祭と同時開催となっていました。以前、「天空の坪庭」という名前で、浜松駅などで開催されたイベントです。最終日の10/16に、訪問してみました。
以前は、比較的作り込まれた坪庭の出展が多かったのですが、今回は物販コーナーも兼ねた展示が多め。その中でも、しっかり作り込んである庭園がありました。庭政さんの作品。燈籠、竹垣、延段、蹲踞と雑木を主体にした茶庭です。
希翆園さんの小庭は、ドラム缶や使い古した野球のバット、流木などを組み合わせて、庭でくつろぐためのスペースとなっています。
豊川から出店の alice garden design さんの小庭。剪定用の鋏や植栽用の不織布ポットなども販売。アーチについている枝や葉っぱは前日剪定に行った現場で出た残材をそのまま飾り付けたそうです。
アイアンクラフトじんぱちさんのブースは、動く彫刻モビールの祖アレクサンダー・カルダーへのオマージュ。じんぱちさんでは、一般の方向けの溶接ワークショップ等も開いています。また、モザイカルチャーなど大きなガーデンイベントでのオブジェ制作でも知られています。アイアン表札などの小物も手がけられていますよ。
ショウガーデン茅と庭「それぞれの今庭」

同じく静岡県御殿場市にあります、秩父宮記念公園。皇族の秩父宮両殿下がお住まいになった別邸を移設し、整備した公園です。茅葺きの母屋は、御殿場市の文化財にも指定された立派なもの。そして山野草を大事にされた勢津子妃殿下のロックガーデンなど、四季折々の植物が咲くロックガーデンを初めとする庭園もとても素晴らしいです。
「それぞれの今庭」ということで、地元の6名の作庭家が参加。それぞれの作品が展示してありました。富士の裾野、御殿場ということもあって、「赤富士」をテーマにしたこの作品は庭山水 白坂誠さんの作品。
「秋露の席」と名付けられたこの先品は、河西庭園さんのもの。やはり地元産と覚しき溶岩を多用、見事なアーチまで組んであります。割り肌、磨きなど石の様々な表情を組み込んだ、庭師ならではの表現です。
本項トップに掲げた、かやぶき屋根の小屋がある作品は、ここ秩父宮記念公園の庭園アドバイザーを務める株式会社一葉(代表 高橋さゆりさん)のその名も「秩父宮の庭」。この後母屋へ行くと分かりますが、同じく茅葺きの建物。さらに植物をすき込んだ「芝棟」は屋根を長く守るための伝統工法だそうです。よく草屋根と呼んでますが、きちんとした工法であるんですね。
妃殿下の大事にされた山野草を集めたロックガーデン。ガーデンとしても既スタン大花を楽しめるのですが、富士箱根地方の山野草、亜高山植物にも役立っています。

ここや園内各地には、マツムシソウ、サラシナショウマ、シュウメイギク、ハナトリカブトなど様々な秋の花が咲き乱れていました。春は園内にある大きなしだれ桜が見事に咲きそうです。庭園好きでしたら一度訪問されることをオススメいたします。
第20回日比谷公園ガーデニングショー2022

3年振りの開催となる、「第20回日比谷公園ガーデニングショー2022」は、日比谷公園開園100年を記念して平成15年に始まり、20回目です。今年の開催テーマは、『つなげよう!花とみどりの力で』。
ライフスタイルガーデン部門、コンテナガーデン部門、ハンギングバスケット部門のそれぞれの作品が、東京都千代田区の日比谷公園にて、10月22日〜10月30日までの9日間展示されていました。
カントリー調の作品、和の手法を取り入れたモダンなガーデン、野趣あふれる小庭など、様々なテイストの小ガーデンが出展されていました。右の多肉植物をメインに使った展示は「大地の恵み」と題した Lier.succulent さんの作品。なんと大分からの出展です。周囲は常に人が集まり、多肉植物の人気の高さを伺わせてくれました。
左は高校生の参加作品。東京都立農芸高校の「古民家 猫カフェ」。高校生とは思えない、小屋造りから何から凝った作品です。土間の叩きなどもちゃんと施工してありました。杉板も焼いてますね。
昼寝している猫チャンが愛らしいです。壁のひっかき傷も楽しい。とても楽しみながら制作したのでしょうね。若い方がこうして楽しんで庭づくりに励む、とても良い機会になっています。皆さん、このままお庭の世界に入ってきて欲しい。
乱形の石を配置したチェア。
これも庭師ならではの表現ですね。
江崎真吾さんの「空見席」という作品です。「汚れを気にしなければ、座ってもいいですよ」と注意書きがありました。庭は使ってなんぼ、ですからね。
静岡県富士市のカレンフジさんの作品。タイトルは「継(つなぐ)」。
バスタブは明日への活力の源、心身のケアをシンボライズしたもの。リフレッシュする事で明日へと繋がるというストーリー組みがなされています。開催テーマの「つなげよう!花とみどりの力で」とリンクした内容となっています。

惜しくも賞は逃していますが、全体のバランス、構成、植栽の配置等優れた手腕を見せてくれています。

いかがでしたでしょうか。ごく一部しかご紹介出来ませんでしたが、秋にはこんな風に全国各地でお庭に関するイベントが開催されています。普段の業務でお庭の事ばかり考える機会が多い方もいらっしゃいますが、他の方の作品を見るのもとても参考になるものです。業務でお忙しいようでしたら、インスタ、Twitterなどでこうしたイベントの紹介を配信していますので、良かったらフォローしてみてください。

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