英語でいえば、cultural Therapy。日本語のミックス版が園芸セラピー。書物などには、園芸を通して「心身の状態を改善すること」と記されています。


 園芸療法というと、医療の一部のようにも感じますが、精神的なリハビリテーション程度に定義を緩めると、森林浴などで耳にする「気持ちがいい」と感じる「緑」の癒し効果です。捨てたものではないと思います。

 実は、私の母が60歳の頃、1週間の温泉旅行に出かけたまま帰らず、1ヶ月過ぎて自宅に戻ってきたことがあります。旅行先の母からは毎日、電話があり、したがって家族は心配をしませんでしたが、電話で「庭がきれいだ」とばかり言う、いつもとは違う母がそこにいました。

ある日、母が1ヶ月余り泊り込んだ旅館から、丁重なお礼状が届き、それによると・・・
 母は、最初の3日間、旅館の部屋から庭を眺め、次の3日間、草むしりをはじめ、次の3日間、ホウキと熊手で掃除をはじめ、それからというもの毎日、相当に広い旅館の庭中の掃除を始めたのだそうです。
 自宅に戻った母は、そんな話を一切してくれず、何気に活き活きとして暮らしているのです。

 「緑」の生命力というと大げさかもしれませんが、癒されて自宅に戻ってきた母の様子から、「植物に触り」「体を動かせる」園芸もまた、「心身の状態を改善する力」があると今更ながら思います。

 ちなみに、東京農業大学で『バイオセラピー学科』が新設され『登録園芸療法士』の受験資格を得る事ができるそうです。また、福島学院大学、神戸女子大学、大阪信愛女子短期大学、札幌国際短期大学などでは、『園芸療法士』の資格取得のためのコースが設けられているそうです。