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【デザイン】 設計室便り
晩秋の湖北五山巡り その2
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さて、奥浜名湖の名勝を回る特別企画、「晩秋の湖北五山巡り その1」に続いて、その2の始まり。翌日曜日は午前中から行動開始。残り三山です。

まずは五山のうち一番山深くにある、引佐町の方広寺へと向かいました。

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方広寺は臨済宗方広寺派の大本山。奥山半僧坊の名で親しまれています。境内は60haと広く、本堂や三重の塔などの伽藍が沢山あります。
映画「千と千尋の神隠し」に出てきそうな橋は、亀背橋。以前は杉林の中にあったようですが、ほぼ伐採されていました。代わりにモミジが沢山植えられていました。きっとあと何十年かすると、見事な紅葉林として観ることが出来るでしょう。
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間口32m、奥行27mの大本堂は、とても大きく立派でした。

この日は何かイベントがあったらしく、沢山の人が見えて並んで待っていました。
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半僧坊真殿の一木彫の昇龍、降龍。岩五郎作と書かれていました。見事。後藤岩五郎は、左甚五郎の孫弟子とのこと。
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開山堂から勅使門を眺める。枯山水庭園となっていて、砂紋が描いてありました。お掃除は途中みたい。
大庫裡受付より本堂正面、観音堂、開山堂、半僧坊真殿を周り、再び本堂へ戻って、裏手へ回ってみます。紅葉がとても素敵でした。

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本堂の裏は、「らかんの庭」と呼ばれ、その名の通り、沢山の羅漢像が並んでいました。現在も奉納され続けているそうです。石碑の側には、与謝野晶子の歌碑がありました。
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そこからサンダルに履き替え、階段を上っていきます。階段の先には、上天台舎利殿があります。ここでも紅葉に囲まれ、また連なる甍の屋根を眺めることが出来、壮観でした。
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上天台舎利殿の脇にあった、涅槃の庭。これも枯山水ですね。開山堂前の砂紋もそうでしたが、白川砂利ではなく、天竜水系の青石のビリ砂利が使われています。
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舎利殿らしく、仏様由来のものも。沙羅双樹の樹が植えられていました。と言っても本家インドの沙羅双樹ではなく、ナツツバキ、いわゆるシャラの木。
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外に回ってみました。こちらは、木彫りの龍のあった半僧坊真殿。
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半僧坊真殿裏手から。落ち葉が厚く降り積もっています。
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この先は奥の院まで続いているようです。
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少し傾斜の道を歩くこと5、6分。奥の院が見えてきました。途中苔生した部分などがあり、転倒に注意です。ゆっくり登っても15分くらいで着きます。
これでおおよそ方広寺の拝観コースを回ることが出来ました。実は後で知ったのですけど、門前町を抜けて黒門から哲学の道を上っていく正規のルートがあったようです。う〜む、次回はそちらからお参りします。初めて来たので、三重の塔脇の駐車場にまっすぐ来てしまったのでした。

なお、大本山方広寺、拝観料は大人400円、中学生以下200円、未就学児は無料です。精進料理を楽しむことも出来、また宿泊研修や、座禅、写経なども受けつけています。

大本山方広寺
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それでは、引佐から三ヶ日へ。狭い山道を抜け、東名三ヶ日ジャンクション近くの大福寺へやってきました。仁王門を通り過ぎ、駐車場を降り、参道を登っていきます。
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大福寺は、高野山真言宗の寺院。お祀りしているのは薬師如来。
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なんと、本堂前に桜が咲いていました。フユザクラの一種でしょうか。
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あとで調べると、半歳桜の名前で知られているようでした。今年は9月の後半から咲き出していた模様。秋から春にかけて、半年も咲き続けるのでこの名前が付けられたのでしょうね。

萼筒をみると、ぷっくり膨れていて、花弁は紅色の一重。やはりフユザクラに近い種類なのでしょうね。一度他の秋から冬に咲く桜を見比べて見たいと思います。
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本堂にお詣りして、ひとしきり廻った後参道を降ります。途中に正門がありました。この中に?裡や客殿、そして庭園があります。
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庭園と宝物館を拝見するには、拝観料が必要です。300円なり。受付をすまし、奥の門へ。
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こちらが庭園。龍潭寺やこの後廻る、池泉築山式の庭園。観賞方法は回遊式です。
手前の池は「福助池」と呼ばれ、周囲を回れるようです。右手の出島には二石組み、中央に滝石組み、須弥山石組、三尊石組など。

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池の畔には、大銀杏がそびえ立っていました。樹高25m、幹周4m、樹齢300年以上といわれる大木です。晩秋の西日を浴び、黄金色に輝いていました。その昔は遠州灘からも見え灯台の代わりになったと看板に書いてありましたがさすがにそれはちょっと…(^^;
客殿の前からは、なにやら熟成した香りがただよってきました。縁側で何か乾燥させているようです。

よく見ると、黒いカリカリの豆のようなものが筵に挟まれていました。ここ大福寺の名物、大福寺納豆です。室町時代に明から伝わった、浜納豆の元祖とのこと。受付で1包み700円で販売してましたが、この日は売り切れと言う事でした。他にも、天竜浜名湖線掛川駅構内で購入できるようです。

大福寺納豆・浜納豆

酒の肴に人気なんですね。また今度買いに行ってこよ。

大福寺 浜名湖高野山・高野山真言宗・大福寺納豆・湖北五山[静岡県浜松市三ヶ日](HPはまだ整備中のようです)
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さあ。湖北五山巡りも最後です。なんか巡礼の旅みたいになってきましたね。

高野山真言宗の古刹 摩訶耶寺。こちらも龍潭寺と並び、庭園で有名です。
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左右に石垣。左手の竹垣は立子が半割の竹ですから、建仁寺垣ですかね。正面に門が見えます。
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中へ入ると本堂が。入母屋造りで総ケヤキとのこと。まずは本堂で受付を済ませました。本堂内では、若いご住職に天井や宝物庫について説明して頂きました。千手観音、不動明王や阿弥陀如来像が祀られていました。
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こちらが庭園入り口。
平安末期から鎌倉初期に作庭された、静岡県最古、全国でも、京都西芳寺の庭池に次ぐ古さを誇る名園です。80%は当時の姿を残しているとのこと。それはすごい。

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せっかくなのでパノラマ写真で(摩訶耶寺でデジカメいじっててパノラマ撮影機能を発見しました)。

龍潭寺、大福寺と同じく池泉築山式。西側の屋敷から眺める観賞式の庭園です。池の右側には中島。中島は石組みで鶴の姿を模しており、鶴の首と翼を表現しています。左は出島。護岸が見事。その後ろには三尊石が組まれ、平安時代の様式を残しています。築山の一番遠くには七石組。こちらは遠方の山を表しています。


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少し角度を変えて。また表情が違って見えますね。各石組みの位置関係もわかるでしょうか。

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その昔、出雲系の氏族が住みつき、その後藤原家一門の大中臣氏が居を構えたとのこと。この庭園は当時その屋敷に造られたものようです。何度か戦乱に巻き込まれ焼かれて、現在の本堂は江戸初期に再建されました。庭園は昭和32年、境内の竹林より発見され、昭和43年調査の後復元されて、その学術的価値が認められました。

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摩訶耶寺の山門。こちらもご住職に教えて頂きましたが、元々はここにあったものではなく、野地城という三ヶ日のお城の門を移築したものとのこと。道理で厳めしい趣があります。

後で知りましたが、ここ摩訶耶寺は平成25年より住民有志の手により、庭園再生プロジェクトを立ち上げ、除草や泥さらいなどの管理が行われたそうです。そして今年の春にお披露目会があったとか。その時にはお屋敷も開放され、本来の観賞場所から見ることが出来たみたい。う〜む、存じませんでした。

なお、摩訶耶寺の拝観料は、大人300円、高校生200円、中学生100円、小学生以下無料となっています。

摩訶耶寺
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かくして、紅葉の龍潭寺から始まった、浜名湖 湖北五山巡りを終えました。晩秋ということもあり、温暖な遠州地方では、ちょうど紅葉の時期となりました。しかし、季節は移ろいゆきます。庭は四季折々の表情を楽しめるもの。次は是非命の躍動を控えた、初春の庭を拝んでみたいな、と考えています。また、この地方には、この五山の他にも古刹名刹があるようです。そちらもいずれ訪問したいと思います。