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【デザイン】 設計室便り
晩秋の湖北五山巡り その1
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11月の最終日。温暖な地域として知られる静岡県は遠州。こちらではそろそろ紅葉のピークを迎えようとしていました。その前の週に家族で龍潭寺のライトアップを観に行ったこともあり、この日は昼間の龍潭寺を観てみようと、寺社に興味を持つ息子と二人で浜名湖北岸へと出かけてみました。

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最初に向かったのは、息子の希望のより、龍潭寺より少し竜ヶ岩洞に近い、渭井神社(いいじんじゃ)。息子はここのご神木の話をどこかで聞きつけており、観てみたいとのことでした。

神域にふさわしい森に囲まれて、おだやかな土曜日の午後でしたがとても静かな雰囲気。

実はこの神社を囲う森は、ムササビの棲む森、「ムササビの森」として知られていて、観察会なども開かれている場所でした。
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こちらが息子のお目当てのご神木。「天生杉」と呼ばれています。古木と新しいご神木の組合せになってました。樹齢や樹高はちょっとわからず。
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渭井神社 拝殿。この神社、ずっと以前は龍潭寺の境内にあったということです。南北朝時代に現在の場所へ移されたとか
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この神社、天白磐座遺跡があることでも知られています。神社がここに移る前からずっと神域だったのでしょうね。古墳時代から平安時代まで祭祀場だったとのこと。

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さて、それでは、渭井神社から徒歩で10分ほどの龍潭寺へ移動します。駐車場に立つ看板を観ると、「浜名湖湖北五山」とありました。龍潭寺を初めとする浜名湖北岸の著名なお寺を湖北五山と称しているようです。この看板を観た時点で即、この日と翌日は「湖北五山巡り」に充てられることに決定しました(笑。
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さて。それではまず龍潭寺です。夜間特別公開の時はライトアップで色鮮やかな紅葉が際立っていましたが、前日の雨跡が残るしっとりとしたこの日も良い感じでお出迎えしてくれました。それでは山門から。
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仁王門前の築地塀(ついじべい)。白色の横筋のはいった築地塀は、筋塀と呼ばれます。三本入ってます。
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龍潭寺の「梛(なぎ)の木」。いぬまき科の常緑高木。樹高19m、樹齢推定400年。
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ちょっと回り道しましたけど、東門の前を通り、拝観受付へ向かう道。
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一面の赤、というわけではありませんが、赤から黄、黄から緑へのグラデーションがとても美しい紅葉でした。
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しっとりとした路面にモミジの紅が映えます。
受付を済ませて、本堂へ。開け放たれた方丈から仁王門を望むと見事な枯山水の庭園。

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「補陀落の庭」として知られるこの庭。夜間公開ではあまりよくわかりませんでしたが、サツキやドウダンの刈込がバランス良く配置され素晴らしい庭です。
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白砂が五本の指のように見えることで、浜名湖を表すと言われ、親しまれているそうです。
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左甚五郎作、鶯張りの廊下。ギシギシというかきゅきゅっというか、よく鳴るんですよね、これが。
この龍潭寺は、禅宗である臨済宗妙心寺派。そしてまた、井伊家の菩提寺でもあります。地名である、井伊谷も、先ほど回った渭井神社も、井伊家の名に縁を持つのでしょう。

さて、龍潭寺と言えば、もっとも有名なのがこちら。小堀遠州作という龍潭寺庭園。池泉鑑賞式の名園です。戦前に国指定名勝として指定されました。


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手前に横長の心字池を配置し、中景として、連山式築山、遠景は背景林で構成される地割りとなっています。石組みは、左右の仁王石が特徴的。額縁効果により築山中央の三尊石組と併せて遠近感を演出するものと言われています。

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書院奥にあった坪庭。
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南庭「補陀落の庭」脇の築地塀。版築という、土を突き固めて作る工法で作られているのがよく分かります。こうも崩れていると、ついつい補修をしたくなりそうです(苦笑。
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南側へ出ました南庭南側の鐘突。
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南庭南の散策路からは、開山堂へ回っていくことが出来る様でした。行ってみましょう。
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朱塗りの建物は、開山和尚をお祀りする開山堂。
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さらに奥へ。井伊家の墓所の脇を通り抜けていくと、裏の道に出ました。隣接する井伊谷宮へと繋がっているようです。

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スチールの門扉があってちょっと物々しい感じ。後醍醐天皇皇子 宗良親王の墓所だそうです。もちろん非公開。
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井伊谷宮境内。先ほどの宗良親王をお祀りし、学問、心願成就、開運の神と信仰対象になっているそうです。ちょうど息子が大学の推薦で合格したばかりでしたので、お礼のお詣りをしました。
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晩秋の龍潭寺、見事でした。落葉樹の葉が全て散り、常緑のみとなった「補陀落の庭」や、新緑に明るく輝き、皐月の咲き乱れる初夏に訪れてみるのもまた良いかも知れません。
また、滋賀県彦根には、関ヶ原の後ここ遠州より移建開山された龍潭寺もあります。そちらにもいずれ行ってみたいと思いました。

なお、方丈からの拝観料金は、大人400円、小・中学生150円となっています。

公式サイト:遠州の古刹 龍潭寺
彦根市 龍潭寺庭園



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湖北五山巡り、2箇所目は細江町の初山宝林寺。5つのお寺の中では一番東側になります。江戸時代初期に開創された、禅宗 黄檗宗の寺院です。
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仏殿正面から。明から渡来した独湛禅師の開創ということもあり、建物にも明朝風様式が色濃く残ってます。国の重要文化財に指定されています。

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山門左側の回遊式藤棚庭園。ここは4月の終わり頃また来てみたいですね。
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仏殿内。釈迦三尊像や二十四天善神像など多数祀られていました。 床面は瓦敷き。
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梵音堂跡(ぼんのうどうあと)。観音堂があったそうですが、明治末に倒壊したとのこと。奥の左側に見えるのは静安堂。
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方丈南面右側にある水琴窟。いい音してました。
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金鳴石。石で叩くと金属音が鳴ります。商売繁盛の石として尊ばれているそうです。

正面には阿弥陀三石仏が祀られています。奥浜名湖に多い石仏のうち「初山系石仏」と呼ばれるものは、宝林寺が発祥の地だそうです。
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初山宝林寺の猿候杉(えんこうすぎ)。2本立ち並ぶいわゆる夫婦杉で、樹齢350年、樹高20m。名前の由来は、枝が長く垂れ下がり、テナガザルのように見えることからとのことで、杉の園芸品種です。生け花や盆栽などにも使われます。
なお、初山宝林寺は、拝観料大人300円、中高生150円、小学生無料となってます。

初山宝林寺
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午後になって回り始めたので、この日は一旦ここでおしまい。残りの三山は、翌日です。「晩秋の湖北五山巡り その2」へと続きます。